ほとんど使っていないクレジットカードがあると、「解約してすっきりしたい」と思うかもしれません。年会費を支払っているクレジットカードなら、なおさらすぐに解約したいと思うでしょう。
しかし、解約の仕方によっては、貯まったポイントやチャージされたお金、利用できたはずの特典・付帯サービスを失ってしまうかもしれません。
また、解約の仕方によっては悪い「クレジットヒストリー」が残り、新規のクレジットカード作成の審査やローン契約の審査に通りにくくなることもあります。
そこでこの記事では、クレジットカードを解約したい方に向けて、次の内容をまとめました。
- クレジットカードを安全に解約する方法
- クレジットカードを解約する際の注意点
- 解約するデメリット
クレジットカードを解約する方法は、実はとても簡単です。
だからこそ、解約方法だけではなく、クレジットカード解約によって生じる注意点・デメリットを知っておきましょう。
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クレジットカードを解約する方法は?
クレジットカードの解約は、お金や個人情報に直結することもあり、やや特殊です。
そのため、ここではクレジットカードの解約方法、解約手数料の有無、金融機関に残る履歴などについて解説します。
また、解約手続きの完了後に必ず行うことについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
クレジットカードを解約するときに必要な情報
クレジットカード解約時に必要な基本情報は、以下の通りです。
- 氏名
- 電話番号
- 住所
- クレジットカード番号
インターネット上で手続きを行う場合は、サイトにログインするためのID・パスワードに加えて、暗証番号を入力することもあります。
また、ジャックスカードなどは基本情報とメールアドレスを入力し、送られてきたメールから手続きを進める方式となり、こちらも一般的です。
カード裏面の電話番号に電話する
クレジットカードの解約は、電話で手続きを行うケースが一般的です。連絡先の電話番号は、クレジットカードの裏面に書かれています。
基本的には直接オペレーターと話して、解約する旨を伝えます。解約時の対応は、クレジットカード会社ごとに異なり、解約理由を確認されることもあるようです。
またしつこい営業ではないものの、会社によっては、違うタイプのクレジットカードを勧めてくることもあります。
電話受付の営業時間について
オペレーターが応答するクレジットカードの解約では、営業時間が決まっています。たとえばオリコカードセンターの受付時間は、9時30分~17時30分です。
またMUFGカードでは、電話すると自動応答システムにつながります。そこで、解約申請書・本人確認書類などの発送を申請できます。
さらに一部のカード会社では、インターネット上の手続きに対応しているところもありました。たとえば、auWAONが使えるイオンカードセレクトは、Webサイトの「暮らしのマネーサイト」経由で解約が可能です。
その他にも、セゾンカード(UCカード)のように実店舗がある会社では、直接窓口で申請ができます。クレジットカードと本人確認書類を持参するだけなので、自分に合った方法を選びましょう。
クレジットカードの解約料について
ほとんどのクレジットカード会社では、解約料がかかりません。ただし、必ずしもすべての会社に該当するわけではないため、事前にカードの規約情報を確認してください。
解約受付の電話番号は、フリーダイヤルで設定されていることが多いので、問い合わせしてみるのも良いでしょう。特に解約手数料が発生しやすいのは、年会費が必要なカードです。
たとえば「JCB GOLD EXTAGE」は、クレジットカードを作って5年以内に解約・切り替えすると、解約料が発生します。
クレジットカードの解約料は、一般的に数千円ほどですが、金額が気になる場合はチェックしておきましょう。
解約手続き後、カードはハサミで切るか使えないように処分する
クレジットカードの解約は、カード会社に正式に連絡した時点で完了しています。ただし、無効のカードでも、悪用される場合があるので注意が必要です。
基本的に処分するときは、カード番号・名前・ICカード・磁気ストライプの部分を、ハサミで切りましょう。
透明のごみ袋にそのまま入れるのは不用心なので、「紙袋に入れて捨てる」「何回かに分けてゴミに出す」などの対策を取っておくと安心です。
カード名義の本人以外でも解約はできる?
クレジットカードの解約は、原則として本人しかできません。ただし止むをえない事情がある場合、家族や保護者などの第三者が、クレジットカードの解約手続きを行えます。
代表的な例は、カードの名義人が死亡した場合や健康上の理由で、本人が解約手続きを行えないケースです。
ちなみに家族カードの解約は、本会員カード(親カード)の解約ではないため、本会員カードの契約者でなくても解約できます。
ここでは、それぞれのケースについて詳しく説明します。
カードの名義人が死亡した場合
カードの名義人が亡くなった場合には、代理人としてクレジットカードの解約ができます。連絡する際には、カード名義人の戸籍謄本・住民票(除票)・死亡診断書・代理人の本人確認書類などを用意しておきましょう。
その際に、一部のマイルやショップポイントなどを引き継げる可能性もあります。基本的には現金以外の相続はできませんが、額が大きい場合は、一度クレジットカード会社に確認してみるのがおすすめです。
もし認知症などで判断が難しい場合は、クレジットカード会社によって対応が変わります。もし困ったときは、電話で相談してみてください。
ちなみにカードの名義人が死亡しても、年会費は発生し続けます。また有効期限が切れるまでは、不正利用されてしまう恐れもあるので、忘れずにクレジットカードの解約をしておきましょう。
家族カードを利用している場合
家族カードとは、本会員カード(親カード)の契約者の信頼で作れるクレジットカードです。しかし、家族カード自体は所有者のものであると扱われているため、本会員カードの契約者でなくても解約できます。
たとえばニコスカードやセブンカードの家族カードは、電話やインターネットで、所有者が解約手続きを行えます。
家族カードの場合は、解約というより「退会」という位置付けとされていることが多く、本会員カードよりも手続きが簡単です。
クレヒス(クレジットカードヒストリー)について
「クレヒス」とは、クレジットカードヒストリーのことを指します。
これは、みずほ・りそな・ゆうちょなどの銀行や、アメックス・エポスなどのクレジットカード会社などが共有して閲覧できる利用履歴情報のことです。個人信用情報機関(CIC、JICC、JBA、KSCなど)に登録されています。
通常のクレジットカードの解約は、利用者の信用に関わる行為ではないため、クレヒスに解約日の履歴が残っても問題ありません。
また、使っていないクレジットカードを一気に解約しても、デメリットにはならないので、処分したいカードは解約しましょう。
クレヒスに残ってしまう可能性があるケース
クレヒスに残って問題になる解約は、ポイントバックキャンペーンやキャッシュバックを目当てに作成し、短期間で解約してしまう場合です。
クレジットカード会社に損害を与えるような、悪質な解約だとみなされてしまうと、今後の金融サービスの審査に影響が出ます。
クレヒスに乗ってしまうと、新たにクレジットカードを作りにくくなるので、注意しましょう。
楽天カード・ソフマップカード・セディナカードなど、クレジットカード各社では、さまざまなポイント付与のキャンペーンを実施しています。しかし、常識的なマナーを守って契約・解約しましょう。
クレジットカードを解約する際の注意点
クレジットカードを解約する際に、チェックしたい項目は以下の通りです。
- 公共料金や携帯電話料金など、自動引き落としの変更は完了しているか
- クレジットカードに貯まったポイントやチャージしたお金は残っていないか
- 本会員カードを解約することで、家族カードやETCカードを使っている人が困らないか
- 年会費の支払いのタイミング(特典・付帯サービスの権利期間が長くないか)
- クレジットカード一体型電子マネーは解約後も使えるか
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
1、カード自動引き落としにしている支払先を変更しておく
長くクレジットカードを使っていると、さまざまなサービスの支払いを自動引き落としに設定していることが多いでしょう。
具体的には、電気・水道・ガスなどの公共料金や、NHKの受信料、家賃、携帯電話、インターネットのプロバイダなどです。他にも動画・音楽配信サイトやジムの月額利用料、新聞、雑誌なども考えられます。
特にポイント還元率が高いクレジットカードを所有して、ポイントを得るために支払い方法を変更した人は要注意です。
解約するカードで登録中のサービスがないか、利用履歴を確認して、漏れがないように手続きしておきましょう。
2、保有ポイント・チャージしたお金も使えなくなる
クレジットカードを解約すると、保有していたポイントや、チャージしたお金は使えなくなってしまいます。使い切ってしまうか、他のポイントに交換・払い戻しするのが損がなくおすすめです。
なお、クレジットカードの解約直前にポイント交換を申請していても、解約手続きによってキャンセルされる事例もあるようなので、注意しましょう。
特に近年では、クレジットカードを発行する場合のほとんどで、何らかのポイントが付帯しています。dポイント・楽天ポイント・Amazonギフト券以外にも、日産ポイントなどの特化型ポイントをもらえるケースもあります。
入会時の特典などで、気づかないうちにポイントがたまっていることも多いので、解約前に調べておくのがおすすめです。
3、家族カードやETCカードも使えなくなる
本会員カードにあたるクレジットカードを解約すると、自動的に家族カードやETCカードも使えなくなってしまいます。
これらは、すべて本会員カードの銀行口座に紐づけられているので、注意が必要です。
とはいえ、うっかり解約してしまい「ETCレーンで家族が慌ててしまった」というような失敗談もよく聞きます。
家族で事前に話し合って、代わりのETCカードを用意しておくなど、準備をしてからクレジットカードを解約しましょう。
4、解約の時期はタイミングを要確認
原則的に支払った年会費は、請求しても戻ってきません。
そのため、航空会社のラウンジ利用特典や、海外旅行保険の付帯サービスが付いているクレジットカードは、解約を考えなおすほうが良いこともあります。
また年会費が無料のクレジットカードで、飲食店や娯楽施設が割引される場合は、解約しない方がお得でしょう。
年会費が徴収されるタイミングや、自分のスケジュールなどを検討した上で、解約のタイミングを決めるのがおすすめです。
5、一体型電子マネーは、解約後に使えるかを要確認
電子マネーは、大きく分けると「ポストペイ型」と「チャージ型」に分けられます。
解約後に使える・使えないなどの違いがあるため、解約するクレジットカードがどちらのタイプなのか、確認しておきましょう。
- 「ポストペイ型」
クレジットカードの銀行口座と紐づけられているものです。QUICPay(クイックペイ)やiD(アイディ)などの電子マネーが代表的。ポストペイ型電子マネーは、解約すると完全に使えなくなってしまうため注意しましょう。 - 「チャージ型電子マネー」
現金でチャージして利用できるタイプの電子マネーです。交通系の電子マネーとしておなじみのSuica(スイカ)やPASMO(パスモ)、身近な買い物で使えるnanaco(ナナコ)やWAON(ワオン)など。解約によってオートチャージ機能は使えなくなるが、電子マネー単独のカードとして利用できることが多くなっています。
ただし、クレジットカード番号や名前が書かれている場合は、あまりおすすめしません。解約したカードとはいえ、紛失してしまうと、悪用される恐れがあります。
また返却・返送されたとしても、個人情報の一部が漏れたことには変わりありません。電子マネーを使い切ってしまった後は、違うカードを作成する方が無難です。
クレジットカードを解約するデメリット
先ほど紹介した注意点さえ守れば、クレジットカードを解約するときのデメリットはほとんどありません。
しかし、頻繁にクレジットカードを解約する場合や、クレジットカードの未払い分が溜まっている場合には注意が必要です。
1、クレジットカードの解約や切替えを繰り返すと不審がられる
クレジットカードの解約・切り替えを頻繁に繰り返すと、クレジットカード会社から不審に思われてしまいます。
あくまで目安に過ぎませんが、特別な理由がない限り、加入してから半年以内の解約は避けるようにしましょう。
短期解約の記録が残ってしまうと、新規のクレジットカードを作成するとき、審査が通りづらくなる恐れがあります。
特にポイント狙いのカードで、クレジットカードの契約・切り替えをしている人は注意してください。
2、残った支払いは一括払いする必要がある
キャッシング・リボ払い・分割払い・ボーナス払いを普段から利用している人は、未納分を解約時に支払う必要があります。
そのため、未払い分がある場合は、残額の合計を確認しておきましょう。
特に会社の異動・引越し・結婚・出産などのライフイベントに合わせて解約すると、支払いが急増しやすいので注意が必要です。
こうした人生の節目では、何かとお金が必要になるので、落ち着いたタイミングに解約することをおすすめします。
3、古いカードを解約するとヒストリーが消える
クレジットヒストリーには、一般的な利用履歴も記録されています。これらの履歴をクレジットカード会社が調べれば、お金の支払いに関して、信頼できる人かを調査できるためです。
しかし、クレジットカードを解約して5年後には、利用履歴が削除されてしまいます。大きなデメリットはありませんが、一部のユーザーは困ってしまうでしょう。
たとえば、解約して5年目以降にカードを作りたい、ローンを組みたいなどの場合、クレジットカードヒストリーは削除されている状態です。そのため、クレジットカード会社や銀行・消費者金融などに対して、信頼性を保証する記録がないことになります。
よい履歴を残しておきたいケースでは、解約せずに持っておくと、あとで役立ちますよ。
まとめ
今回はクレジットカードの解約方法と注意点・デメリットを紹介しました。
重要なポイントをまとめると、以下のとおりです。
- クレジットカードの解約は、基本的に電話で簡単に手続きができる。特別な理由があれば代理手続きも可能
- クレジットカードの解約によって「ポイント」「チャージしたお金」「電子マネー」を失う場合がある
- 本会員カードを解約すると、家族カードやETCカードも使えなくなる
- クレジットカードを解約すると、リボ払いなどの未払い分をまとめて支払わなければならない
- 特典や付帯サービスが利用できるカードは、解約せずに持っておいたほうが良い場合もある
- 短期間で解約した記録がクレジットヒストリーに残っていると、新規カード作成やローン契約がしにくくなる
もし年会費無料のクレジットカードなら、持っていても損はしないので、解約のタイミングを再検討してみてるのもおすすめです。
付帯サービスの内容や補償内容によっては、普段利用しなくても、お得になるでしょう。
以上の注意点・デメリットに注意しながら、クレジットカードの解約を進めてみてください。